MENU
Magazine
2011.03.14

東北地方太平洋沖地震を経験して|村井純(環境情報学部長)

3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震から三日以上が経過し、余震や福島原子力発電所の障害など、まだまだ新しい状況変化があります。心より皆様の安全をお祈り申し上げるとともに、毎日新たに確認される犠牲者とその家族および関係者の方には心よりのお悔やみを申し上げます。

・SFC安否情報への協力をお願いします。

さて、まずお願いしたいことは、SFCの安否情報の収集に協力していただきたいということです。昨年お願いしたサーベイや授業システムで利用しているSFC-SFSを利用しています。メールを確認してそこにあるURLをクリックしていただくか、SFC-SFSにログインして、安否情報の報告をお願いします。

http://vu.sfc.keio.ac.jp/sfc-sfs/

現在は各行政単位に作られた災害本部を軸に、一次活動としての人命救助と災害状況の把握が行われています。避難されている方々の疲れや苦痛も次第に大きくなってきますので、SFC関係者もそれぞれが出来ることをしていくことになりますが、一次活動の妨げにならないように、次の復興ステップへの体制を作りましょう。

SFCには、1995年の阪神淡路大震災、2001年の米国9・11同時多発テロ、2004年のスマトラ沖大地震と津波、2008年の岩手・宮城内陸地震などの被災地での本当に目覚しい活動をした学生や卒業生、そして専門の教職員が多数います。このことはその都度、SFCの誇りとなってきているのです。SFCは、それぞれの活動を、教育や研究に直接結びつけています。これはまさに、学問とキャンパスが有事の際に本当の貢献をしなければならないという福澤先生の教えの実践でした。

これらの経験や知見を活かして、私たちは誇りを持って新しい貢献を成し遂げていかなければいけません。今回の被災の中心地となった宮城県の元知事でいらっしゃる浅野史郎総合政策学部教授は知事職でいらっしゃった時に、地震・津波対策に取り組まれていました。浅野先生からも学びつつ、本当の貢献となる活動を行っていきましょう。青森、岩手、山形、宮城、福島、茨城などの各県には、私たちのキャンパスや共同研究などの契約もあり、それぞれ深い関係があります。このネットワークからも学ぶことがたくさんあります。

また、SFCには、社会貢献を目指す、NPOなどで活躍する卒業生が多数います。彼らはSFCオンキャンパスの学生や教員と密な連絡をとりながら、適切な活動をすることと期待しています。地震当日の3月11日には、キャンパスでは「新しい学びフェスタ」という、まさに、現役の学生・教員と卒業生のコラボレーションの大きなイベントが企画されていました。突然の地震の発生によるイベント中止の判断のあと、多数の参加者はSFCキャンパスに泊ることになりました。イベントの中止は大変残念です。帰宅の足が無いためにキャンパスにとどまった内外の学生ならびにゲストの方が心配で不自由な一晩を過ごしたこと、そしてなにより、この大きなイベントを長い間準備した人の気持ちを思うと、とても心が痛みます。その主催者のリーダーのひとり、カタリバの今村久美さんから、開催できなかった「新しい学びフェスタ」の協賛者と共に、やがて被災地で必要となる、教育環境への支援をSFCと共に行っていきたいとの連絡をいただきました。断腸の思いで中止をしたはずなのに、下を向く間もなく、すぐにこのように前向きに立ち上がる卒業生がいることは心から頼もしく思いました。

まだまだ発生する新しい問題を解決する必要もあるでしょう。それを含めて、SFCで始まる大きな世界のネットワークでしっかりとつながり、この歴史的な災害から復興し、新しい社会を創る本当に長い道をみんなで一緒に進みましょう。

(掲載日:2011/03/14)