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2007.12.07

学会のあるべき姿|徳田英幸(環境情報学部長)

11/22-23に無事、ORF2007が終了したのも束の間、11/25-11/30まで、秋葉原ユビキタスウィークと名打って、3つのシンポジウムと情報処理学会のユビキタスコンピューティングシステム研究会に参加していた。徳田研からは、今回、M1とB3の学生2名が論文発表をした。二人とも、まったく初めての学会発表で緊張していたようであるが、会場の方々からいろいろと有益なコメントを頂いていた。これからも、国内外で、どんどん他流試合をしていって欲しいと思っている。

さて、これまで「おかしら日記」では、国際会議に学生たちと参加した報告などは触れたことはあったが、学会そのもののことをお話する機会はなかった。私が、学生時代から参加している学会は、情報処理学会(IPSJ)、電子情報通信学会(IEICE)、日本ソフトウェア学会、 ACM(Association for Computing Machinery)、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)などである。個々の学会には、それぞれの特徴があるが、共通して言えることは、学会のあるべき姿がインターネットの普及や論文誌/学会誌の電子化にともなってダイナミックに変化してきているということである。

ここでは、情報処理学会の事例を紹介しよう。情報処理学会は、学部生時代から、全国大会の会場アルバイトなどを通じて事務の方々とも仲良くさせて頂き、大変親しみをもっている学会である。これまでにも、SIGOS、SIGUBIなど研究会の主査や理事を経験させて頂いていたのであるが、今年の5月より、再び企画担当理事を仰せつかった。

私が担当している役割の1つは、学会そのものの役割を拡大していこうというものである。従来から学術研究をしている人たちを中心に活動がされていた学会に対して、もっと社会で情報関連の実務に携わっている方々が会員にならなくても、自由に参加することができるフォーラム(ITフォーラムと呼ぶ)をプロモートしている。

現在、以下の8つのフォーラムが活動されており、毎年1月に開かれるソフトウェアジャパンの会場で発表セッションを持たれている。

■ITアーキテクト・CIOフォーラム ■Web2.0フォーラム■サービスサイエンスフォーラム ■福祉情報システムフォーラム■ユーザスタディフォーラム ■ITダイバーシティフォーラム■イノベイティブ社会基盤フォーラム ■高度IT人材育成フォーラム

フォーラムの活動と同様に、学会が出版してきた論文誌に対するアクセスの方法も大きく変わってきている。従来から有料で紙媒体として配布されていたものは、オンラインアクセスが可能となっているだけでなく、他の学会同様、電子図書館が利用できるようになっている。さらに、これらのうちある一定期間過ぎたものは、オープンアクセスにするといった議論もなされている。

学会は、非常に堅苦しく、権威のかたまりのような場と考えられている古い方がいるかも知れない。しかし、今の学会は、会員サービスを充実し、社会に開かれた学会のかたちを模索しているのである。学会は、急速に進化しないと社会から取り残されてしまうかも知れない。

(掲載日:2007/12/07)

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