MENU
Magazine
2007.07.12

究極の"そもそも"を考えてみよう

おかしら日記

究極の"そもそも"を考えてみよう

冨田勝
環境情報学部長

「そもそも何のために大学へ行くのか」「そもそも何のために生きているのか」「そもそも命とはなにか」‥ こんな風にそもそもを突き詰めていくと"究極のそもそも"に行きつきます。
「そもそもこの世(宇宙)はなぜ存在するのか」
宇宙は百数十億年前にビッグバンで誕生したとされていますが、ビッグバン以前の宇宙はどうなっていたのか? そもそも誰がどうやって何のためにビッグバンをおこしたのか? 

■◇▲○◆□
私は学生時代、コンピュータ上に"人工生命"を複数個設定し、互いに競争させ、突然変異と自然淘汰でどんどん進化させる、というプログラムを自作して遊んだことがあります。画面上で激しい生存競争を繰り広げ、子孫を増やすために知的に進化し、生死を繰り返す壮絶な戦いを、私はワイン片手に眺めていました。競争のルールは私が結構いいかげんに決めたものですが、彼らはそのルールに愚直に従い、なんのためにやっているのかとか、何の疑問も持たずに必死に生き伸びようとしています。そしてコンピュータメモリ空間が彼らにとっての"宇宙"なのです。

■◇▲○◆□
もしこの人工生命たちが充分に進化して知能を持ったとしたら、同じ質問をするでしょうか。
「そもそも誰が何のために俺たちを創ったのか」
そして彼らはいずれ私の存在に気づくでしょうか。きっと彼らは私を「大宇宙の創造主」と呼ぶのでしょうね。そんな愉快なことを想像しているうちに、眠くなったのでパソコンの電源を切る。そんな私の何気ない行為が、彼らにとっては、そう、「大宇宙の終焉」なのです。

■◇▲○◆□
今「環境情報学の創造」の授業準備をしています。今週(最終回)は「宇宙」がテーマです。実生活にはなんの役にも立たないけど、一度は大宇宙について考えてみることは重要で、もしかしたら人生観が変わるかもしれません。

(掲載日:2007/07/12)

→アーカイブ