MENU
Magazine
2008.01.21

最近感動して涙したこと|徳田英幸(環境情報学部長)

明けましておめでとうございます。
もうすでに、阿川さんが私の前のおかしら日記にて触れられていますが、毎年、SFCの執行部は、地元の打越遠藤西部自治会・賀詞交換会に参加させて頂いています。元旦の朝8時50分ごろに集合ですから、なかなか大変です。かつて、雪が残っていた元旦に、小島前総合政策学部長を湘南台駅でピックアップし、 SFCの信号の手間で減速した時に、氷が張っていて、ブレーキがきかずゆっくりとスリップした経験もあります。また、賀詞交換会の後、誰もいない静まりかえったキャンパスをまわり、中高等部の横にある浅間神社への参拝も恒例になりました。晴天の青い空と人がひとりもいない静まりかえったキャンパスは、新年の最初の日を迎え、新たな年をスタートする気持ちの切り替えには大変いい場所であります。

さて、今回のお題「最近感動して涙したこと」であるが、年々、年のせいか(?)、涙腺がゆるくなっていると思っている。これも我が家の恒例行事の1つであるが、兄弟が集まって新年会を都内でやっている。その時の話題にいつものぼるのが、「箱根駅伝の話」である。1月2日に集まっている時は、家を出る時には、どこそこの大学が一位であったなど、かならずといって新年会の話題になる。さらに、また慶應ファンの母からは、「慶應の学生は、出ていないの?」とかならずつっこみがくる。「うーん、なかなか長距離タイプは、難しいようだね」とわかったような、わからないような返事をしている。かつて、参加校枠が増えた記念大会では走っていたが、もうかなり前のことである。

いつも、見ていて感動するのは、ランナーたちの「たすきを途切らせずに、なんとかつなげたい」と頑張って、ひたむきに走りつづける姿にぐっとくるのである。今年も、試合後の週末、テレビにて名場面の特集があり、ある選手が脱水症状になってしまい、意識もうろうとなり、ふらふらになりながらも、必死に、次の走者をめざして走り、なんとか無事にたすきを渡せる場面があった。その選手の素晴しい精神力とひたむきさにぐっときてしまった。

この感情がぐっとくる状況をかつて、大学院政策・メディア研究科の「マルチメディア文化論」にお招きした情感デザイナーの水口哲也さんは、「感情のストック&リリースモデル」ということで説明してくれた。たとえば、テレビや映画を椅子に座ってじっとして見ていると、我々の心の中で、感情が積み上げられていき、あるスレッシュホールドを超えると涙となって、その感情がリリースされるというものである。コンピュータゲームのように、ちょと感じたりはするが、すぐに、ボタンを押したり、キーを叩いてしまうと、感情はストックされずに、すぐリリースされてしまうのである。暗い映画館で、じっと座って見入っている状況は、ストックを効率よくしているのである。

新たな年を迎え、我々も、駅伝のランナーと同様、粛々とSFCのたすきをまもり、次の世代につなげていかなければと思っている。

(掲載日:2008/01/21)

→アーカイブ