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2007.02.15

提出は早めに、誕生日会は遅れずに!|徳田英幸(政策・メディア研究科委員長)

2月中旬に、研究室のスキー合宿に参加することができ、ひと時のスキーを満喫した。今年の暖冬は異常で、積雪は例年の1/10程度と地元の人は言っていたが、初日は、結構、雪が降っていた。2日目の午前は、とても良い天気で大変気持ちよく滑ることができた。しかし、殆どの人はスノボーであり、古いスタイルの4本のエッジをコントロールできる"スキー"派は、ほんの数名であった。毎年、だんだんスキーをする事自体が、自分の体力測定のような感が強くなってきているが、自由に滑れる楽しさは、いくつになっても格別である。

さて、大失敗談であるが、1つよく覚えていることがある。それは、我が家の長男の3歳の誕生日会である。私は、当時、分散システム研究のメッカであったCMU(Carnegie Mellon Univ.)に勤めて3年目で、ARTS(Advanced Real-Time OperatingSystem)というOSをART Groupで研究開発していた。x86系のマシン上で、システム作りもある程度めどがつき、世界初のPriority Inheritance機能をもったReal-Time Synchronization PrimitivesやReal-Time IPCも完成していた。その日は、丁度、論文を書き上げて、最終提出に向けて作業をしていた日であった。

自分の予定では、朝一番にダウンタウンのFedExに行って論文提出を完了し、お昼からの誕生日会にのんびりと参加するはずであった。ところがである。研究室のM君と最後の校正をし、提出用最終原稿をscribe(tex以前の文書処理プログラム)で処理していたが、図の配置をどう工夫しても、原稿が規定のページ数に収まらないのである。本来であれば、文章自体を推敲し短くすればいいものを、scribeを駆使し、行間を詰めたり、2段組の間隔をつめたりと、何度も何度も処理することになってしまった。時間はあっという間に過ぎていく。校正が終了し、FedExに提出した時には、既に午後1時を回っていた。確か、食事会の後、ジムへいって、みんなでトランポリンなどを使って遊ぶと聞いていたので、ダウンタウンからジムに直行した。

来ていただいた友達の家族の人たちに謝らないと、と思いつつ、ジムに飛んでいくと、我が家の関係者はもう誰もいなかったのである。では、自宅に戻ったのだろうと帰宅してみると、そこも、もぬけの殻である。

自責の念に駆られて、家でションボリしていると、「ジムの後、友人宅にて皆でお茶をしていた」といって妻と長男が戻ってきた。やれやれであった。

くれぐれも提出は早めに、誕生日会は遅れずに!

(掲載日:2007/02/15)

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