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2005.11.04

「魅力ある大学院教育」イニシアティブ|徳田英幸(政策・メディア研究科委員長)

小島先生が報告されたように、SFCの新しい執行部体制が10月1日からスタートした。冨田先生、佐藤先生が加わり、熊坂先生が、任期を満了された。小島先生、吉野先生、そして私は、引き続き2年間ほど続投ということになった。

政策・メディア研究科は、これまでにも、大学院の定員増、プログラムの再編、社会人ドクターコースの開設、ダブルディグリープログラムの設置等の改革を進めてきているが、世界レベルで魅力ある研究教育環境としていくには、学部と大学院の連携をさらに強化し、21世紀COEプログラム、特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)、現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)、ハイテクリサーチセンター事業、デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC)、インキュベーション施設などを通じて、SFCの持っている研究教育のポテンシャルを最大限引き出し、オープンな研究教育環境を確立することが重要であると考えている。

実は、大学院は、大競争時代にある。文部科学省の21世紀COEプログラムにより大学院を中心とした世界的な研究拠点作りと若手研究者の育成の公募からはじまり、今回の「魅力ある大学院教育」イニシアティブの公募へと続き、大学院教育の改革が進められている。ちなみに、「魅力ある大学院教育」イニシアティブのねらいは、"現代社会の新たなニーズに応えられる創造性豊かな若手研究者の養成機能の強化を図るため、大学院における意欲的かつ独創的な教育の取組を重点的に支援するプログラムを公募する"とある。COEが後期博士課程の学生たちを対象にしていたのに対し、今回は、修士課程・後期博士課程を含めたプログラムなので、大学院一貫として進められる点が我々にとっては幸いである。COEプログラムのRA制度などもSFCでは定着してきているが、後期博士課程の学生のみが対象で、後期博士課程への進学をめざし、かつ優秀な研究実績をもっている修士過程の学生をRAとして雇えないのが問題であった。

今回の応募に関しては、慶應義塾の研究科からは文学研究科の「心に関する研究科横断プロジェクト型教育」と政策・メディア研究科の「情報社会のガバナンスを先導する研究者育成」の2つが採択(PDF)されている。政策・メディア研究科では、海外の大学院との遠隔教育と対面教育を融合させた実践的な教育による国際フィールドワーク科目、国際インターンシップ科目、国際連携研究プロジェクト科目などを開講するとともに、修士課程在籍中に、連携先大学院への1学期間留学を通じて、連携先大学院と本大学院の2つの修士号を取得可能とする国際ダブルディグリープログラムを設置し、グローバルな情報社会を先導できる研究者を育成することをめざしている。

採択された他の多くの大学院イニシアティブもいろいろな工夫をしており大変参考になる。しかし、SFCにおける教育研究の質的向上を進めていくには,これまでの大学院で行われてきた研究プロジェクト中心の実践的教育を継承し、学生、教職員ひとりひとりの力が発揮でき、コラボレーションを通じて知の創発を可能とする「自律分散協調型」大学院を確立することが重要であると思っている。

p.s.
読み返してみると、かなり硬い言葉が並んでいるが、これからの2年間はあまり力まず、あくまでも自然体で向かいたいと思っている。

(掲載日:2005/11/04)

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