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2006.05.26

ちょっとした時間を有効に|大西祥平(健康マネジメント研究科委員長)

無為は全てをだめにする

疲れたときの休み方にはいろいろ有りますが、「アクティブレスト」という言葉があります。身体を動かしながら疲れた身体、そしてこころをほぐし、次への活力を生み出す事を意味しています。

身体を動かし続ける事の大切さですが、50年以上前の研究では、ロンドンバス(二階建てバス)の車掌は、その運転手より心臓病になりにくく、理由はバスの階段を上り下りによる運動量の多さに有る、というものがあります。運動しない事は心臓病になる危険度が1.5〜2倍になると言われています。

若い頃運動をしていたので身体には自信がある? といった言葉を良く聞きますが、いかに年をとっても運動を続けていることが大切なのです。身体やこころの健康の度合いを示す指標は数多くありますが、動脈硬化の原因となる病気や生活習慣をどれだけ持っているか(動脈硬化の危険因子)が重視されます。1.高血圧、2.糖尿病、3.喫煙、4.高コレステロール、5.じっとしている生活、6.太り過ぎ、の6項目です。

学生時代に運動選手であっても社会に入ってからの数十年間仕事の忙しさにかまけていた人より、学生時代に運動しなくとも今の時点で継続して運動をしている人の方がより動脈硬化のリスクが低い、すなわち健康であるのです。昔はともかく今何をしているのかが最も大切。もちろんこれからでも遅くありません。私自身のモットーでもありますが「死ぬまで元気で動き続けましょう」。

効率よく運動を

身体に良いといってやり過ぎるか、はたまたやらなさ過ぎるか、この両極端はともに身体に害を及ぼします。筆者もやり過ぎによる障害の多くを経験しましたが、運動を行うに際して、個人の能力にあった運動を「種類」「頻度」「時間」「強さ」の4つの要素で考え、効率の良い運動を安全に行う事が大切です。

まず歩きましょう

まず2分間。生活の中で動かないですむ時間を動く時間に切り替えます。階段の利用もそうです。電話で話している時間も歩く時間に利用しましょう。こういった僅かな工夫による積み重ねが長い目でみると大きな結果の違いになります。「忙しい」は言い訳にすぎません。私もそうですが、仕事が忙しく、毎日帰宅する時間も遅く、週末は疲れた身体を休める事が大切で運動をしている時間がないと言います。とにかくとっかかりを作ってください。多くの方は通勤にバス、電車を使っておられます。目的地までの一つ手前の駅で降り、歩きましょう。大阪市立医科大学の林先生のデータによると、職場まで21分以上歩いた人は高血圧になるリスクが30%近く減るとあります。是非通勤ウォーキングを実施してください。主婦の方は毎日の買い物が有ると思います。重い荷物を持って長い距離を歩いて帰るのは大変ですので、買い物に行く時間を少し余分にとって歩く距離を長くしましょう。

(掲載日:2006/05/26)

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