先月、学部説明会のために慶應ニューヨーク学院高校を訪問したときの話である。
マンハッタンから車で一時間弱。郊外に位置するNY高キャンパスは広い芝生と池があり、さながらSFCのようである。「自由闊達」な髪型や服装に身を包んだ生徒たちがあちらこちらで談笑している光景はいかにもアメリカ的だ。
そこで驚いたのは、その生徒さんたちがすれ違う度に、見ず知らずの私に「こんにちは!」と挨拶をしてくれることだ。しかもそれがまったく自然体で、すっかり文化としてなじんでいた。アメリカ人は公園ですれ違ったりエレベーターで乗り合わせたりすると「Hello!」「How are you?」などと気さくに挨拶をする風習があるが、それの日本語版といったところだろうか。
そんな彼らから得た印象は、「かっこつけて斜に構えたり白けてみせたりせず、照れずに自己主張はするけれども、人なつこくて気さくな若者たち」だった。これはまさにSFCが求めている人材ではないか。挨拶だけでそこまでの印象というのも考えすぎか、と自覚しつつも、挨拶の重要性についてあらためて思い知らされた。
「挨拶をすると爽快な気持ちになる」。そんな素朴なことを数十年ぶりに教えてくれたのは、NY学院の高校生たちだった。
(掲載日:2006/05/01)
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