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2005.01.18

時の速さ|徳田英幸(政策・メディア研究科委員長)

2005年がスタートした。今年も元日に遠藤西地区の新年会に小島、熊坂、吉野学部長と西野参与とともに出席してきた。その様子は詳しく吉野先生がレポートしているので、証拠写真だけを載せておきます。

さて、毎年新年を迎えると思うことがある。それは、私にとっての1年が年々短く感じてしまうことである。我が家では、日本に戻ってきてから新年の初詣には必ず一家揃っていく習慣がある。たまたま余裕があった時などは、鎌倉八幡宮、浅草寺、湯島天神と3ヶ所も初詣三昧したこともあり、美味しいものを食べたり、楽しい"ゆったり"とした時間を持てる貴重な正月の三が日である。

体が感じる"時の速さ"は、"仕事の量"と比例して、どんどん加速されていく感がある。もちろん多くの先人たちからこの現象は聞いていた。しかし、この体感速度をスローダウンする良い方法を知らない。仕事の処理能力をアップし、どんな仕事もさっと片付けられる能力を持つという方法も一見論理的であるが、実際は、もっと多くの仕事が沸いてきたり、降ってくる。

仕事で、友人のいるケンブリッジ大学などに出張した時などは、キャンパスの空気もさることながら、自分のまわりの時計がゆっくりとまわっていることに気づく。雑務から解きはなされていることもあるが、午後のティータイム、庭園内の散歩道、美術館などキャンパスの持つ文化によるところも大きいと思う。SFCやCMUよりは、はるかにゆったりしている。

どのようにこの"ゆったり感"を醸し出すか、あるいは過密スケジュールの中から勝ち取っていくかが私の課題である。我々のようにSFCという知的触発のあるキャンパスで多くの時間を過ごしている者にとっては、キャンパスライフを見直すいい機会である。あのすごい匂いを除去するだけでなく、SFCに設置されたスーパーエアシェルタの中にいれば、時はゆったりと流れるようになるであろうか?

スーパーエアシェルタは無理にしても、もっともっと日常に"文化的仕掛け"をキャンパスに埋め込んでいかないといけないのであろう。教室、会議室、食堂、メディアセンターなど、いたる所に仕掛けたいものである。もちろん我々の心と体のバランスが崩れてはダメである。どんな文化的仕掛けもまったく意味を持たなくなってしまう。

16年目を迎えたSFCの課題の1つも、この"ゆったり感"かもしれない。

(掲載日:2005/01/18)

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