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2004.11.26

X40、もってます?|熊坂賢次(環境情報学部長)

11月24日21時、2日間のORFも無事終え、やれやれ、という解放感に浸りながら、小島さんと一緒にタクシーに乗って、六本木ヒルズを後にした。

22時27分、ケータイが鳴った。「重近です。くまさかさん、X40、もってます?」げげ、その瞬間、すべてを理解した。すぐにバッグの中を確認したが、案の定、なかった。僕の分身であるIBM X40 のPCは消えていた。つまりヒルズの40階のスタッフ本部に忘れたということだ。これこそ、やれやれ、だ。

やはりどこかで無事終了したという安堵感があったのだろう、しかしそんなに僕は間抜けかな、と自問した。その解答は明快であった。いつも持ち歩くバッグだから、その重量感覚はしっかりと身体に染み付いている。PCがなければ1㎏ 軽くなるから、よほどのことがないかぎり「おや?」と気づくはずだ。その重量に相当するもの、つまりアントレプレナー・アワード2004のエントリーシートの分厚い3冊がバッグの中にしまってあったのだ。だから、分身を置いてきぼりにするという不幸が起こったのだ。やれやれ、「おーい、牧、やれやれ、だぜ」と、ぼやいてしまった。本来ならば、深夜に、お世話になったみなさんにお礼のメールをしなければならないのに、それもできず、ただ、ぼーっと、身体の疲れた重さを静かに沈めることしかなかった。まあ、それもいいか、と気分転換することにした。

そしたら、いろいろ、思い出した。アントレプレナーのアワードで特別賞をあげた「SPIBER」は鶴岡で頑張る学部4年生2人組みのバイオベンチャーで、受賞のときには、しっかりと涙もみせる余裕の演技で、騙されやすい僕は、それには素直に感動?してしまった。世界の頂点をめざすベンチャーになってほしいものだ。やはりSFCは最高のキャンパスだな、と誇らしい気分になった。

21-12のメインセッションの対論では、第3世代のみなさん(SFCの若い教員だよ!)にとっても酷な役割をお願いしたので、大変だったろう、と思う。しかし僕の予想を裏切るように、みなさん、SFCのスター(SFCの中年の教員だよ!:ORFに来なかった人への親切な解説)の間に入って、結構、かっこよかった。様になっていたので、よしよし、と思った。そして、アワードは仰木さんが獲得した。おめでとう。展示では、井庭さんと脇田さんが、その多大な貢献で、みごと受賞した。すばらしかった。もちろん、蝶が舞う、びっくり箱?をみせた小檜山さんの腕は最高で、来場した子供からお年寄りまで、みんな感動していたが、僕より年上の人なのに、永遠の若者のような展示をするので、受賞は遠慮してもらった。これで、いいのだ。

ということで、ORFは終わった。とてもすばらしい2日間だった。

(掲載日:2004/11/26)

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