ヤンキースは、レッドソックスに3連勝して、しかも4連敗という屈辱を味わった。その敗因について、トーリ監督は、第5戦6 回表2死満塁で打った松井のライトへの鋭いライナーがニクソンに好捕されてしまった瞬間、ヤンキースの敗北は決定した、と語っている。分析はいつも冷静で、しかも悲しい。
10月16日、ホームカミングデイ、そしてフットサル。12時、小島さんチームを相手に、最初の試合が始まった。まだ3分しかたっていないとき、相手方のボールが僕たちの陣営に入り、そのボールをなんと小島さんがすり足状態で追っているではないか。意外にも、その足の素早いこと、でも、余裕のある僕は、敵将の動きの機敏さにあたたかなエールを贈り、「倒れないでね」と優しさいっぱいであった。そしてボールがキックされ、「ああ、蹴ったのね」と事実確認した。しかし次の瞬間、ボールはゴールに吸い込まれていた。キーパーは、ただ唖然としていただけで、何もすることなく、キックされたボールの行方をボーッと追っていた。確かなことは、ゴールが達成されたということだ。このとき絶対的なまでの敗北を確信した。その後、僕たちには立ち直る勇気も根性なく、ただずるずると時間の経過を待つだけだった。
試合開始前インタビューがあり、余裕を装った小島さんは「自然体です」と静かに語り、僕は高らかに「絶対に勝つぞ!」と宣言した。これが敗因のすべてだと気づくのに、時間はかからなかった。その後、小島さんは順調に決勝リーグに進出し、そこでも徳田さんチームを負かした。これで、われわれの権力構造は確定した。
そういえば、もう一人の巨人は、どこにいったのだろう。そしたら、夜になって、伝説のバンドとして、7時20分に突然、正面ステージに愛用?のギターをもって登場し、シャウトし始めた。30年前の面影などまったくなく、しかしだからこそ存在感だけは圧倒的なパワーで、会場の若者たちを打ちのめしていった。けっこう、かっこよかった。オレたちの昔はこんなによかったんだぜ、と虚勢を張りながら、ふと過去がそのまま戻ったような幻影をみせた、村井純・オンステージであった。
おじさんやじーさんになっても、スポーツも、ロックも、いいものだ。若いだけで特権がとれる時代ではないぞ、と、つい口をとんがらせてしまった。
(掲載日:2004/10/29)
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