禍と欲
欲望が止まらない
湯水のように消費し
汚れたもので大気を満たし
気温を上昇させ
氷河を溶かし
疫病を北上させ
自らの命を危うくしている
それでも湧き出る欲望を抑えきれない
火遊びに夢中になり
事故を起こし
放射線を撒き散らし
住めない土地をこしらえ
自らの遺伝子を傷つけている
それでもまだ欲望は溢れ出てくる
神聖な森に手を伸ばし
隠れた者たちを世に放ち
社会を麻痺させ
職を危うくし
自らの命をも危うくしている
それでもまだまだ欲望が止まらない
人間は自らを挑発することで生の実感を得ている
全ての欲望はそこにつながっている
新型コロナと向き合う中で
そんなことを考えた
脇田玲 環境情報学部長/教授 教員プロフィール