MENU
Magazine
2020.05.12

自宅で過ごす学生の皆さんへ|看護医療学部長補佐 野末 聖香

学生の皆さんは毎日をどのようにすごしているでしょうか。これを書いている5月4日、非常事態宣言の5月末日までの延長が決まりました。東京、神奈川では引き続き同様の自粛生活が求められます。おそらくこの記事がアップされる頃、社会は"新しい生活様式"、段階的に生活を取り戻していく方法を探っていることと思います。しばらくは一定のSocial distanceが必要な状況が続くでしょう。学生同士お互い連絡を取りサポートし合えているでしょうか。心配なこと不安なことを誰かに相談できているでしょうか。ことに新入生は、大学生として新たな人間関係を作っていこうとする矢先に、Social distance生活に入ってしまいました。心細い気持ちを抱え、馴染みのない教員の顔を画面越しに見ながら、不慣れな遠隔授業を受けていることと思います。

Social distanceは心身に様々な影響を及ぼすと言われています。毎日が不安だ、孤独感を感じる、鬱々とする、ストレスを感じる、イライラする、感染が怖くて強迫的になってしまう、、、、学生も教職員も多かれ少なかれこのような体験をしていることと思います。精神看護学を専門とする私も同様です。感染症パンデミックにおいて不安やストレスを感じるのは普通の反応です。そこで諸資料をもとに対処方法を紹介したいと思います。知っているよ、やっているよ、という方もいらっしゃると思いますが。

「人との繋がりを保ち、お互いを思いやり、優しくしましょう」。オンラインで、画面越しにでも顔を合わせ言葉を交わすことは、孤独感やストレスを和らげます。ラインやメールも有用ですが、ストレスフルな状況下では、文字で表現した言葉が発信者の意図と異なって伝わったり、思わぬ誤解につながったりすることがあります。可能なら相手の表情が見える、声が聞こえる方法でコミュニケーションをとるとよいでしょう。そのときはお互いを思いやる気持ちを持ちましょう。

「自分なりのストレス・コントロール法を見つけましょう」。不安や苦痛を感じる情報に触れる時間は必要最小限にし、楽しめること、リラックスできることを見つけ、自分のストレスを自分でコントロールしましょう。ものの見方を変え、物事を肯定的に捉えることも有効だと言われています。

「日常生活のリズムをできる限り一定に保ちましょう」。一日中家の中で過ごしていると生活リズムを保ちづらくなりますね。夜型化していませんか。生活リズムが崩れると、ストレスや運動不足も相まって睡眠不良が生じがちです。睡眠状態が悪いと感情を安定的に保ちづらくなると言われています。極端な夜更かしをしないようにし、朝起きたら窓を開け外の景色や日差しを眺めましょう。

最後に「不安が強まり、いつもの自分でいられなくなりそうなら、周囲に助けを求めましょう」。家に籠って個々に生活していると、サポートが必要な状況に陥っても周囲に気づかれにくいものです。そういう学生さんがいないかどうかが心配です。家族や相談しやすい友人、教職員にSOSを出して欲しいと思います。東日本大震災のとき余震を恐怖に感じる度合いは人によってかなり異なりました。同じ状況下にいても不安やストレスの感じ方、その強弱は人によって違います。我慢や遠慮をせず、ストレスが強くなったら周囲に相談するようにしましょう。大学からのいろいろなサポート情報もぜひ確認してください。

そして、まだ見ておられない方は、日本赤十字社作成の下記の視聴をお薦めします。

学生の皆さんと直接会うことができないまま、もうしばらく画面越しの授業が続きます。毎年当たり前のように行なっている授業が、実は学生の皆さんの反応によって深まったり、発展したり、修正できたりしていたのだと、オンデマンド授業を録画しながら痛いほど感じています。現状が回復したら、対面授業の "そのとき"、"その場"で生じる相互作用を大切にし、楽しもう、と気持ちを新たにしています。いつか必ず来る皆で集える日を楽しみに、知恵を出し合い、支え合いながら今を乗り越えて行きましょう。

野末 聖香 看護医療学部長補佐/教員プロフィール