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2021.01.26

Covid-19がもたらしたもの|健康マネジメント研究科 看護学専攻長 戈木クレイグヒル 滋子

毎週土曜日の10時半は、家族の時間。
シアトルとサンフランシスコは17時半、ボストンは20時半、ハワイは15時半。遠くに住む家族が参加したZOOMでのおしゃべりが始まります。新型コロナウイルス感染症(covid-19)のパンデミックが始まった頃、義姉の提案で始まった安否確認的なおしゃべり。毎週話す事なんてあるかなと思っていましたが・・ある、ある。いとこや甥姪も参加するようになって、ステレオタイプな「声が大きくおしゃべりなアメリカ人トーク」で盛り上がります。コロナ禍は大変ですが、IT環境が整った時代でよかった。おかげで、これまで以上に家族と交流する習慣ができました。

でも、今日は悲しいニュースがありました。甥の1人がコロナウイルスに感染したのです。
友人が突然、入院。臨終の場に大学のクラスメートが集まり、手を握って見送り、数日後の葬儀で皆で悲しみを分かち合った・・まではよかったのですが、その後、甥の体調がおかしくなりました。同じ頃、故人がコロナウイルスに感染していたことがわかりました。臨終の場も葬儀の場も、完全な三密(密閉空間・密集場所・密接場面)環境だったようです。

(参考)covid-19の感染リスクを小さくするためには、換気が重要だと言われています。下記は、理論モデルを使って、室内空間の安全な露出時間と占有レベルを計算するサイトです。いくつもの言葉に翻訳されていますが、なぜか、日本語はありません。
https://indoor-covid-safety.herokuapp.com/?units=metric

2360万人が感染し、すでに39万人が亡くなったアメリカの状況はかなり悲惨です。埋葬作業が追いつかず、葬儀屋に断られることもあるし、病院内の遺体安置施設がキャパシティを超え、冷蔵トラックを改良して安置場所として使っているほどだというニュースも目にしました。日本がそんな状態にならないことを祈るばかりです。

ただし、感染31万人、死亡4204人の日本には、まだまだ切迫感がないようで怖い。
家族とのおしゃべりの後、近くの谷中銀座の八百屋さんに行くと、観光客でごった返していました。マスクなしの人さえちらほら。お気に入りの『和栗や』は満席、店の前には長い列。緊急宣言の後なのに〜・・と、慌てて帰ってきました。人が少なくなる月曜日までは、冷蔵庫にあるもので凌ぐしかありません。あ、そうだ!Uber Eatsという手がありましたね・・・便利な時代でよかった(笑)。

Covid-19のパンデミックにより、昨年は教育環境も大きく変化しました。中でも、多くの科目がオンライン授業という状況はこれまでになかったものです。大学の学生生活実態調査によれば、「クラスメートとの交流が減る」「孤独感を感じる」「keio.jpに大量の情報があげられて追いつけない」「課題が多い」「目が疲れる」等の困難さを覚えた学生は少なくありません。

でも、その一方で、「対面授業より分かりやすい」「分からないところを何度も観ることができる」「自分の一番集中できる時間に講義を受けることができる」「移動時間が減ったために、時間を効果的に使える」といった前向きな意見も多いのです。さらに、「他学年の授業がレクチャー・アーカイブとして残ったことで、自分の興味のある分野の勉強をしやすくなった」「学部にとらわれない幅広い授業をオンデマンドで見られるので、学部を超えた知識を身につけたい」という、オンライン化を有効活用しようとする意見さえあります。

どんな体験でも、新しい方向を見いだす機会にしたいものです。
Never let a crisis go to waste!

戈木クレイグヒル 滋子 健康マネジメント研究科 看護学専攻長/教授 プロフィール