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2021.03.23

おわりは、はじまり|常任理事/総合政策学部教授 國領 二郎

本放送に乗り遅れて見た再放送。劇場版が出るよりは前だったので、たぶん1996年に初めて見たエバンゲリオン(エヴァ)が25年目にしてやっと終わった。今度こそ終わったと思うし、終わったと納得している人が多いのではないかと思う。シンジは遂に大人になったし、ネタばらし解説パンフのアスカの表情の柔らかさが「上がり」を象徴しているように感じられるからだ。

それにしても、テレビシリーズの最終回とか、一回目の劇場版の終わり方とか、これほど終わり方が物議をかもした作品もなかなかない。庵野監督は納得しないファンの圧力を感じ続けてきて苦しかったのではないかと思う。責任を取り切って皆の気持ちが落ち着く終わり方をしていただけた観があって、敬意を表したい。

自分もやりかけたことはちゃんと完結させなくてはと思う。

昨日(316日)は湘南藤沢国際学生寮の竣工式だった。前任学部長によって滞在型教育研究の未来創造塾構想が出されてオンキャンパス(*)の寮建設構想が動き出したのが2007年だった。ところが実現に向けて動き出したと思った時に東日本大震災とオリンピックで建設費が急上昇して、まさかの予算内での入札不調。転んでもただでは起きないぞと学生の力を借りて木造で作ったStudent Built Campus(SBC)の施設はコロナで立ち入り禁止。紆余曲折としかいいようのない軌跡をたどって、想像もしなかった長丁場となった。それでも諦めずに長期滞在可能な施設の整備を志し、やっと第一弾の施設ができたということになる(いまココ)。自分が定年になるまでに残りも完成する目途もたった。

できあがると、長期滞在ができる寮が約400名分強となる。通学生や訪問学生が短期滞在できる部屋120名分とワークショップスペースは昨年完成してβヴィレッジと命名されている。これらを合わせて、みんなが泊まり込みながら議論したり、作品つくったりする空間ができる。

物理空間が、コロナの最中に生まれることには運命を感じている。その意味でオンラインで開催された「超鴨池祭」が大盛況だったのは象徴的だと思う。単なるオンラインイベントではなくて、「鴨池」が大切なのだ。リアルな共通体験があるから、バーチャルな空間でいつでも一生つながり続けられる仲間ができている。リアルとバーチャルが相互に波動を増幅させて創造を創発するのだと思う。

大変だったので感傷にひたってしまったが、私にとっては完結でも、キャンパスにとっては始まりに過ぎない。新たに切り開かれた空間に新しい体験が生まれ、新しい創造が行われ、SFCに新しいコミュニティが生まれてくるはずだ。毎日が合宿のような楽しい学校になるといいなと思っている。そんな夢を持ちながら次の一歩を踏み出したい。

()湘南藤沢国際学生寮は厳密にはキャンパス隣接の地主様の土地の上に建っている。

「超鴨池祭」 アーカイブ配信(2021年4月15日迄)

國領 二郎 慶應義塾常任理事 / 総合政策学部教授 プロフィール