SFCに看護医療学部が開設されたのが2001年。あれから20年が経った。月日の流れは実に早い。卒業生は大いに活躍している。看護専門職として病院、在宅医療、行政、産業などで実践する者、国際機関に働き途上国の人々の健康を守る者、看護の専門性を生かして起業する者、教育研究職に携わる者など、挙げればキリがないほど、多様な場でそれぞれの役割を果たしている。頼もしい限りである。
今後は、活躍の場や内容がさらに拡大、変容するだろう。技術革新は急加速し、社会構造も大きく変化する。医療技術が飛躍的に発展し、AI、IoTの活用が進み、遠隔医療が加速する。Covid-19感染症パンデミックがその発火剤になった。医療は人々の生活の身近なところに浸透し、自宅−病院の切れ目なく展開されるようになるだろう。保健医療専門職の裁量範囲がより柔軟になり、看護職の役割の取り方も、場も、もっと多彩になるはずだ。健康や病気のセルフコントロールをサポートする看護職が、デジタルデータを活用しながら自由にサービスを開発し展開できるようになるだろう。もちろん、技術が急速に進化しても生身の人間自体は構造も機能もほぼ進化しないのであるから(サイボーグの身体に脳移植、なんてことになるかもしれないが)、人の生老病死に寄り添い、ひとりひとりの個別性に沿った看護が求められることに変わりはない。卒業生には、新時代の看護専門職のあり方を発想し、人々が、病気になっても、障害を抱えても、老いても、安心してその人らしく生きていける保健医療を担う変革者、先導者になってくれることを心から期待する。
看護医療学部の学生は、SFCという個性と自由な発想が尊重され期待される場で大学生活をスタートする。これは他の看護系大学にはないユニークなモデルである。既存のシステムにとらわれず柔らかく、そして深く思考し発想する力を養うにはここだ!という環境で学ぶことができる。その後信濃町にキャンパスを移し、より専門的で先進的な医療を学ぶのである。1学部2キャンパスは学生、教職員にとっていろいろと大変なことも多いが、いいとこ取りでそれを活かし、未来の看護医療を担う若者を全力で応援したい。Covid-19で加速した遠隔技術をもってさらに諸キャンパスとの繋がりを強め、より豊かな体験と学びのチャンスを広げていきたい。
Covid-19感染者数が増え続ける日々。皆様どうかお気をつけて、この夏を大切にお過ごしください。