MENU
Magazine
2022.03.08

雛人形|看護医療学部長 武田 祐子

原稿締切日の3月3日は桃の節句、雛祭りです。おかしら日記のお題に苦慮していたところ、わが家のお雛様から微笑みかけられ、紹介することに致します。

武田先生1.jpg娘の誕生以来、毎年お目見えするようになったお雛様は、私が3歳の時に母方の祖母から贈られたものです。姉と2人姉妹であるものの、転勤族であり雛段飾りは難しかったのですが、ガラスケースに入るコンパクトなフルセットの雛人形との出会いはどんなに嬉しかったことか、幼少時の記憶として残っています。母が毎年飾ってくれていましたが、いつの頃からか私の担当になっていたようです。成長と共にお目見えする機会は減り、お蔵入りになっていたのが、娘の誕生により再デビューを果たしました。

「人形は顔が命」と古い広告のキャッチコピーがありましたが、コンパクトな木目込み人形のお顔は愛らしく、日本人形に時折感じる畏怖のようなものが全くありません。私にとっては、優しかった祖母の笑顔と重なるものがあります。私が誕生した時の話として、見舞いに来た祖母を見て「婆さんにそっくりだな」と言われたことを繰り返し聞かされ、私自身も祖母似を自負していました。祖母は、和装で歌舞伎に行くことを何よりも楽しみにしていた、お洒落で粋な人でした。その祖母とは血縁がないことを知ったのは、祖母の葬儀の時でした。母と祖母は仲がよく、祖母からは母や私たちを大事にする想いをいつも感じていて全く気づかずにいたので、大いに驚きました。

不思議なことに、歳を重ね、ますます当時の祖母に似てきた私の顔ですが、お雛様を飾る度に祖母や母の家族を大切にする想いに触れるようでもあり、半世紀以上も経つ雛人形と共に、その想いを四代目になる娘に受け継いでいきたいと思います。

武田先生2.jpg

武田 祐子 看護医療学部長/教授 教員プロフィール