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2022.05.17

五月晴れに|看護医療学部長 武田 祐子

毎年のことながら、新学期を迎えると、怒涛の日々を何とか切り抜け5月連休でようやく一息がつける。

久しぶりの行動制限解除の大型連休ということで世の中浮き立っていたが、コレという企画もなく、溜まった原稿処理などをマイペースで行いながら休日を過ごす。

ひとつだけ、気になりながら放置していた作業を組み入れた。昨年亡くなった母の遺品管理である。必要な行政手続きは何とかこなしたものの、実家は庭木の手入れ以外はせいぜい換気に立ち寄る程度で見て見ぬふりをしている。処理してしまえばよいのかもしれないが、難儀なのは母が長年茶道教授をしていたため、その商売道具であるお道具と着物だ。茶道具は放置していても傷むものはあまりないが、問題は着物である。お稽古をしなくなって数年は経過しているので、着物も出番はなかったはずである。

湿気、虫喰いの大敵対策をどうにかしなければと思いながらも後廻しにしてきたので、すでに手遅れでは?と思いつつ、連休中盤の晴れ予報を頼りに、唯一の連休イベントとした。五月晴れは、本来は旧暦五月、つまり6月の梅雨の合間の晴れを指す言葉であったのが、誤用されいつのまにか定着したというが、晴れ渡るまさに五月晴れの空のもと作業を行った。

着物は風通しをして、その間に押入れの整理を・・・と手順を考えてはいたが、作業開始直後に愕然とした。その数が半端なく、広げて陰干にするなど無謀な計画であり、せめて畳紙(たとうし)のままでも風通しをと思い部屋に広げてみたものの、それも無理と断念した。仕方がないので交互に積み上げ、防湿・防虫剤を交換した箪笥に、中を改めながら収納することにした。これはよく着ていたお気に入り、初釜の......などと母を懐かしみながらの作業となった。

takeda0510.jpg

取り出す時にはしっとり感があり心配したが、シミ、シワもなくとても良い状態であることが確認できた。収納は単衣(ひとえ)袷(あわせ)、羽織等と小さな紙が貼られ、母の丁寧な管理に感心し、何とか有効活用をしたいものであると考えさせられた。

帰り際に茶道具の押し入れを覗き、慌てて防湿・防虫剤を放り込んだ。そこには多量の掛軸があった。次の晴れ日は広げて干さねば・・・

武田 祐子 看護医療学部長/教授 教員プロフィール