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2023.10.24

ある日の朝について|常任理事/政策・メディア研究科教授 土屋 大洋

すみません。何もおもしろいことが書けません。日記なのだから毎日起こっていることを書けば良いのだと思いますが、毎日いろんなことが起こるので、何がおもしろいのか絞りきれず、書けません。

以前は、締切に遅れずにとにかく原稿を出す、メールにはできるだけ早く返信することをモットーとしていました。しかし、ここ数カ月、締切を守らないこと、メールに返信しないことに罪悪感を感じなくなりました(感じると自分の心が折れます)。そうすると、「返事がまだなんだけど!」という怒りのこもったメールが追加で来るので、ますますメールボックスが溢れ、アクセスする度に絶望感を感じるようになり、そっとメールソフトを閉じてしまいます。

すると、スラックからピコピコとメッセージが来ます。一瞬見て、そんなのすぐに答えられないよと思うと「未読にする」に戻してしまいます。そうすると未読メッセージがゾロゾロ増えていきます。また絶望します。

4年前に学部長になったとき、睡眠時間だけは削るまいと心に誓ったので、締切を守れていなくても夜は眠ってしまいます。やっちゃいけないことだと分かりつつ、週末にメールに返信することが多くなり、職員の皆さんに嫌がられています(教員の皆さんはあまり気にしていない様子)。スラックで「月曜日の朝09:00」に送信設定することは覚えました。

とにかく目の前にいる人が何を言っているのか理解するのに集中することにしました。締切やメールを気にすると、目の前にいる人が何を言っているのかすら分からなくなります。しかし、それすらできなくなるときがあります。

これを書いているおかしら日記の締切日の午前中、外国の大学からゾロゾロと7人のお客さんがいらっしゃいました。隣で塾長が慶應義塾について説明している間、不覚にも私はその大学のキャンパスマップに見入ってしまい、話を聞いていませんでした。突然、塾長が「土屋さん、何か追加がある?」と聞いて来ました。聞いていなかったので何を追加して良いのかも分かりません。「えーっと、キャンパスマップについて質問があるんですけど、良いですか?」とごまかした。

こんな毎日です。

土屋大洋 常任理事/政策・メディア研究科 教授 教員プロフィール