2024年は1日の能登半島地震、2日の羽田空港における飛行機事故というショッキングな年明けになった。能登半島地震は未だに被害の全貌が見えていない。これらの災害と事故で被害に遭われた多くの皆様に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げたい。
さて、12月は師走というが、大学教員の年末年始は大忙しである。1週間程度は授業がないが、多くの学生たちの論文添削に次の春学期のシラバス作成など、息つく暇もない。特にシラバスが意外にやっかいで、まだ秋学期が終わらないうちに来年度の春学期のことを考えなければならない。シラバスなんて毎年同じなんでしょう?という声もあるかもしれないが、私たちのキャンパスのほとんどの教員は、次はどうやってもっと面白い授業にしようかと真剣に考えている。
環境情報学部の学部長は、「環境情報学」という授業を担当することになっている。総合政策学部は、「総合政策学」である。環境情報学部と総合政策学部のカリキュラムは、とても特徴的で必修科目がほとんどない。この環境情報学は、環境情報学部の学生にとって数少ない必修の一つとなる。春学期は日本語で、秋学期は英語で開講されていて、入学直後の1年生が履修することを想定している。環境情報学と総合政策学は、1単位の科目なので、両学部の学生の多くが両方とも履修する。その結果としてどちらも春学期には700名以上の履修者を集めるマンモス授業となる。それぞれの学部長はこれらの授業を一人で担当するわけではなく、同僚の教員たちと共同して担当するが、誰とどのような授業を作ろうか、これがとても悩ましい。何しろ新入生が必ずとる最初の授業なのだ。
環境情報学部、総合政策学部には言語やウェルネス、情報、データサイエンスの科目などが選択必修(一部は必修)として課されているが、ほとんどの授業は1年生から4年生までいつでも自由に履修できる。つまり、料理でいえばメニューがコースではなくて、アラカルトである。いきなりメインディッシュから食べても良いのである。環境情報学部、総合政策学部のカリキュラムの要といえる研究会(メインディッシュ?)も1年生から履修できる。こんなに自由な学部なのに全ての学生が最初に学ぶ授業、それが環境情報学である。要するに学部長としてプレッシャーがかかる授業なのだ。年末年始悩んだ結果、私は来学期の構成を大きく変えることにした。アラカルトの海に漕ぎ出す学生たちにとって、羅針盤となるような授業にできればと思っている。シラバスに向き合いあれこれ考えていると頭の中はもうすっかり新学期だ。いやいや、やっぱり採点も論文の審査もこれからが佳境だった。来月には入試も控え、1月でも大学教員は走り続けるのである。