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2024.02.27

たまに写真が載ります|常任理事/政策・メディア研究科教授 土屋 大洋

先日、人間ドックを受けてきた。前回、2018年に受けた人間ドックの胃カメラで、「胃潰瘍の痕がいっぱいあるねえ」と言われた。写真を見ると、傷のようなものがポツポツ残っている。ところが、今回それが全部消えてきた。おかしい。6年前より体感的にはストレスが増えている。2018年は学部長にすらなっていなかった。

2020年以降のストレスの一つは、新型コロナウイルスの感染拡大だったわけだが、それもなんだかずいぶん昔のことのような気がする。一部の大学の会議はいまだに遠隔で行われているから、全てが元に戻ったわけではないし、ずっと変わったままになるものもあるだろう。

学部の研究会合宿は、大部屋で雑魚寝にはまだ戻る気がせず、ビジネス・ホテルで各自が個室に泊まりながら行った。無論、研究成果の議論は会議室に一堂に集まって行った。今回は誰も欠席せず、誰もオンラインではなく、元に戻りつつある気がした。

懇親会はホテルではできないので、近くの居酒屋で。全員成人だが、アルコールを全く飲まない学生もいれば、最初からガブガブ飲む学生もいる。最初にウーロン茶を飲んで、2杯目からビールという変わり者もいた。

その席で、ずっと使っていなかったソーシャルメディアのアカウントを開き、写真を撮って1枚だけ載せ、学生たちのアカウントを聞き出してたくさんフォローした。アカウント名を見ても、アカウントの写真を見ても誰が誰だか分からないものが多い。本人が写っている写真がないと、本当に誰のかわからない。でも、それから時々開いて眺めている。

数日後、卒業生たちとの集まりもあったので、またアカウントを聞き出して眺めている。熱心に報告している人もいれば、ほとんど載せない人もいる。24時間で消してしまう人もいる。

コロナの間、みんな何を載せていたのだろう。時間はあったはずなのに、見た記憶がほとんどない。見ていたらストレスは増えたのか、減ったのか。今となっては分からない。きっと無意識に恐れて見ていなかったのだろう。

来月参加する大学の国際連携の会議に合わせて、対面で打ち合わせをしましょうという依頼が、世界中の大学から毎日5通ほど来る。学生の流動性(student mobility)と呼ばれるようになった学生の短期・長期の留学が戻ってきている。しかし、地政学的なリスクに伴い、行き先は変わりつつある。留学先としての日本の人気は高まっている気がする。

国際担当常任理事としては慶應義塾にもたくさん来て欲しい。そして、慶應義塾の学生たちも世界を見に行って欲しい。先ほど、ニュース速報が流れてきて、日経平均株価は史上最高値を超えたそうだ。しかし、円安は何とかならんのだろうか。今朝は1ドルが150.45円だった。これでは学生は海外に行く気がしないだろう。このままだとますます学生が内向きになりそうで心配だ。

海外のことを学び、実際に見ることで福澤先生は慶應義塾を開いた。誤解を恐れず言えば、慶應義塾は西欧かぶれの学校だ。今は西欧だけでなく、アジアをはじめ、世界中に目を向けたい。世界とつながる大学でいたい。

私は自分ではめったにソーシャルメディアに投稿しないと思うが、慶應義塾のInstagramにはたまに私の写真が(知らないうちに)載る。これを見ていただくと、慶應義塾全体ではかなり活発に国際展開をしていることがご覧いただけると思う。

SFCにもInstagramアカウントがある。と思って開いたら、「2004年からスタートし、もうすぐ20周年を迎える人気コンテンツのひとつ」がおかしら日記だなんて書いてある。プレッシャーだ。

新入生の皆さん、SFCで会えるのを楽しみにしています。

土屋大洋 常任理事/政策・メディア研究科 教授 教員プロフィール