新学期がスタートしてちょうど1か月が経ち、何かと慌ただしかった4月を終えて、キャンパスの日常が戻ってきたように感じます。講義科目や研究会の他、私は、マレー・インドネシア語の授業も担当しており、春学期には新入生たちが多く履修するインテンシブ1を教えています。新入生たちも、入学当初の不安と高揚感の入り混じった時期を経て、落ち着いたキャンパスライフを過ごし始めているように見えます。
さて、毎年3月になると、言語科目を教える私のもとにはSFCに入学が決まった学生たちから、「言語選択はどのように考えればいいのでしょうか」、「インテンシブとベーシック、どちらのクラスを履修したほうがいいでしょうか」など、SFCの言語学習に関わる様々な質問が届くことがあります。そんな時には、3月末に開催される新入生向け言語ガイダンスに参加して、話を聞くことを強くお勧めしています。
総合政策学部と環境情報学部の学生にとって、言語コミュニケーション科目は、数少ない必修単位の一つです。アラビア語、マレー・インドネシア語、スペイン語、朝鮮語、中国語、フランス語、ドイツ語、英語、日本語の中から、3年生への進級要件として8単位(いずれかの語種で 4 単位以上修得)を修得する必要があります。これ以外に、言語の必修単位には含まれませんが、ロシア語とイタリア語のクラスも開講しています。
SFCでは、言語を学ぶことは、世界を眼差す「窓」を得ることだと表現してきました。母語の「窓」から見える世界は限られています。別の言語を修得して異なる「窓」を得ることができれば、私たちが見ることのできる世界はより大きく拡がり、世界を別の視点から見ることにもつながるのです。しかも春学期には、言語科目ごとにクラス編成が行われ、このクラスの仲間たちとは言語の授業の他、体育1や情報基礎1も一緒に学ぶことになりますので、新しい仲間と出会う場を選ぶという意味でも、新入生にとって言語選択はとても重要です。
去る3月25日(月)、Θ館にて新入生向けガイダンスが開かれました。ここでは、SFCの言語学習の意義や履修の仕方に関する説明のほか、言語研究室ごとに教員やSA(Student Assistant)が登壇し、当該言語をSFCで学ぶ意義や重要性、楽しさなどについてのプレゼンが行われました。言語を担当する一教員として、自分が教える言語の魅力を伝えると共に、SFCの言語教育の理念や意義について、多くの新入生が知ってもらうきっかけになっていればという思いで参加しました。毎年のことではありますが、どの言語研究室のプレゼンもそれぞれに特色があり魅力的で、私自身大いに刺激を受けました。
この言語ガイダンスは、新入生たちの言語科目選択に大いに影響を与えていると言えそうです。今年の例で言えば、入学手続き時(言語ガイダンス実施より前)と、言語ガイダンス実施後の学生たちの言語科目希望を比較すると、変動率300%以上の科目も複数見られました。言語ガイダンスを経て、学生たちの希望は大きく変動するのです。各クラスに定員があり、すべての学生が第一希望の言語科目を履修できるわけではないのですが、今年も事務の皆さんの丁寧な調整のおかげで、第三希望までですべての学生のクラス分けが実施できたと聞いています。新入生の皆さんには、ぜひ言語学習を楽しみ、自分自身の新しい「窓」を獲得してもらいたいと願っています。また、それぞれに異なる「窓」を持ち、世界を様々な視点から見ることのできる学生が育っていくことで、キャンパス全体として、一つの価値観に捉われことなく、多様な考え方を尊重しながら対話が生まれる場であり続けたいとも願っています。
SFC言語コミュニケーション科目ウェブサイト
野中 葉 大学院政策・メディア研究科委員長補佐/総合政策学部准教授 教員プロフィール