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2024.07.22

星を繋げる|総合政策学部長 加茂 具樹

あつい夏が来た。数日前から、蝉が鳴きはじめている。明け方は、体温と室温と外気温の絶妙な均衡が生まれる時間がある。この瞬間はとても心地が良いが、その後の時間は、暑さとの共存を模索することになる。

このあつい夏もSFCの仲間達は、それぞれの場で教育研究の発信をつづける。いくつかの公式の機会を紹介したい。731()81()SFCは、未来構想キャンプ2024を実施する。そのメイン会場となるSFCでは、「高校生の為の起業・経営ワークショップ ~スタートアップで未来を構想する~ 」、「多言語教育ワークショップ ~言語学習におけるコミュニティの役割をあらためて考える~ 」「問いの探究ワークショップ ~全ては問いから始まる~ 」、「工作ワークショップ 〜みつける、みたてる、つくる、そして風景をつくる〜 」の四つのワークショップが展開する。

また同じ日程で、山形県会場である慶應義塾大学鶴岡タウンキャンパスでは、「食と健康のワークショップ ~令和の福澤諭吉として私たちは日本の食文化とどのように向き合っていくか~ 」と題するワークショップが行われる。そして、これより少し遅れて88()から810()に未来構想キャンプ2024は、鳥取県会場(鳥取市役所本庁舎)で、鳥取県とWebDINO Japanの共催、鳥取市の協力の下で、ワークショップ「Augmented Town ワークショップ ~XR とロボティクスで新たな人と人との繋がりを紡ぐ~ 」を展開する。

今年もまた、未来構想キャンプで展開するワークショップがキーワードとして掲げる領域は多岐にわたる。起業・経営、言語コミュニケーション、探求学習、設計・空間・情報、食と健康、XR・ロボティクスと街、はSFCの教育研究の広がりを可視化している。

8月20()には、慶應大阪シティーキャンパスで総合政策学部・環境情報学部は、説明会を開催する。私と一ノ瀬友博環境情報学部長が話をする。この説明会において、見逃してはいけないポイントは、高汐一紀政策・メディア研究科委員長の模擬授業がセットされていることだ。この学部と研究科とのコラボは偶然ではなく、意図的なものといってよい。SFCの総合政策学部と環境情報学部の教育研究は、学部の4年間という短い時間で完結するものではなく、その先の大学院修士課程への展開を射程に入れているからである。社会が多様化し、複雑化し、私たちが向き合う課題がますます領域横断的となるがゆえに、学部卒業後の30年を切り拓くために必要な力を研くためには、修士課程へ進学の意義は、これまで以上に高まっている。そして820日は、説明会の後の夜には慶應大阪シティーキャンパスがはいっているビルで開催されるナレッジキャピタル SpringX 超学校 において、高汐一紀研究科委員長が登壇する。これも注目だ。

キャンパスは夏を越えた秋の活動も射程に入れた活動に着手している。1123()1124()に、SFC万学博覧会を実施することを決定し、その準備をはじめている。従来、個別開催していたSFCの研究活動の対外発信の機会であるOpen Research ForumORF)、総合政策学部と環境情報学部、そして看護医療学部に関心を持つ高校生徒にむけたオープンキャンパス、藤沢市と共催する藤沢市民講座を博覧会の名の下に一つに束ねたかたちでのイベントである。

いま、この万学博覧会の特別企画として展開する「まちづくりアイディアコンテスト2024」の準備活動が力強くすすめられている。

藤沢市は、その都市マスタープランにおいて、SFC周辺地域を「健康と文化の森地区」と位置付けている。そしてこの地区では、SFCの持つ情報・環境・医療分野等の技術集積や学術・研究機能を核に、産学公民連携によって持続的に発展しつづける「みらいを創造するキャンパスタウン」を目指した都市基盤整備を進めている。「まちづくりアイディアコンテスト2024」は、このみらいを想像するまちづくりの一貫として、公園の創造をテーマとしたアイディアを募集している。

あつい夏にSFCは、こうして矢継ぎ早に、様々な教育研究活動を対外発信するイベントを展開する。その要諦は、夜空に広がる星を繋いで「星座を描く」ことだと理解している。SFCの教員の間には、キャンパスに広がる学問領域の多様さを満天の星に喩える言い方がある。星は、航海のための道しるべだ。社会の課題の変化とともに、必要となる学問領域、すなわち星も変化しする。いまはその数は増えているといってよい。そうした星を如何に繋げて星座を描き、課題解決のための方向性を示すのか。それがSFCの力量であり、魅力なのだと思う。

SFCの魅力は、そこで展開している教育研究を支える学問領域の多様性だけが魅力ではなく、異なる学問領域を繋げる発想の豊かさにある。是非、この夏のSFCが発信する教育研究活動に注目して欲しい。

まもなく、パリにて2024年オリンピックおよびパラリンピックが開催される。塾生および、塾員が出場選手としての内定を獲得し、また教員が監督を務める710()の昼休みには、SFCに所属する塾生選手、塾員選手、そして監督を務める水鳥寿思総合政策学部准教授、千田健太総合政策学部専任講師の壮行会を開催した。アスリートの世界もまたあつい夏となる。パリでの選手や監督達の勇姿をみて、夏を乗り切る元気をもらいたい。

加茂 具樹 総合政策学部長/教授 教員プロフィール