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2024.10.15

多文化・多分野交流:看護医療学部生の夏2024|看護医療学部長 野末 聖香

10月に入り、ようやく秋を感じるようになりました。真夏日にさらされ続けたこの長い夏、皆さんはどのように過ごされたでしょうか。

看護医療学部では、夏季にいくつかの研修・実習科目を配置しています。この夏は海外研修が数年ぶりに復活しました。そこで、 "待ってました!"とばかりに海外に飛び出した看護医療学生の様子、さらに三学部合同中期教育に参加した学部生の様子について報告したいと思います。

まずは韓国研修(国際看護実践Ⅱ(海外))です。訪問先はウルチ大学(乙支大学校, Eulji University)。グローバルな視点から看護コンピテンシーについて学ぶ研修で、ウルチ大学の2キャンパスと関連病院Uijeongbu Eulji Medical Center, Eulji Universityを訪問しました。今年の研修タイトルは"Nursing, What to keep & What to change"。本学から10名の学生が参加し、乙支大学、米国California State University, San Bernardinoの学生と交流しました。研修では、医療環境と看護ケアの変化に関する講義を受講し、各国の医療・看護システムの違いや課題について学びを深めました。そしてWhat to keep & What to changeについてグループディスカッションを行い、発表しました。英語だけでなく、韓国の学生が日本語を、本学部生が韓国語を話すなど、"推し"の力で学習した語学力を生かし交流していました。私は後半3日間に同行しましたが、すでに学生間のつながりが深まっていて感心しました。つながりを形成する力は、グローバルな活動の基盤です。頼もしい限りでした。

また英国研修(世界の医療・保健制度Ⅱ(海外研修))も4年ぶりに開講されました。イギリスの保健医療福祉制度や政策を現地で学ぶプログラムです。Ipswichにあるサフォーク大学(University of Suffolk)で看護教育、在宅ケア、高齢者の孤独、包括ケアシステムについて講義を受け、ウェスト・サフォーク病院、イプスウィッチ病院、セント・エリザベス・ホスピス、ロンドン・バースセンター、ナイチンゲール博物館を見学しました。参加学生は11名。イギリスと日本の制度や政策を比較し、両国の課題やその解決についてディスカッションしました。写真は講義や演習の様子です。

イギリスの看護教育は非常に実践的で日本の学部生は体験しない医療技術をトレーニングしています。学生たちは制度についてだけでなく看護教育の違いについても学ぶことができました。そして昨年、一昨年の2月に本学部の国際看護実践(国内)短期留学受入プログラムに参加したサフォーク大学の学生と再会し、さらに親交を深めることができました。このように国際交流の輪が広がり、積み重なってネットワークが構築されていけば、国際的な保健医療連携・協働の強力な土台となることと思います。

さて、もう一つの報告は、多分野交流―医療系三学部合同教育「グループアプローチによる患者中心の医療実践教育プログラム」です。このうちの中期教育が9/28SFCで開催されました。医学部4年生、看護医療学部2年生、薬学部4年生が集い、「よいチーム医療とは何かを理解する」ことを目標としてロールプレイで事例を展開し、治療・ケアについてディスカッションしました。


多分野でお互いの専門性を理解し合い、意見を交わしながらベストプラクティスについて検討した経験は、これからの学習と実践に活かされるのではないでしょうか。

保健医療の諸問題の解決・改善には、国境を越えた対応や分野を超えた協働が今後ますます重要になります。看護の未来を担う看護医療学部生に大きな期待を抱きます。

最後に、魅力的なプログラムを準備・運営してくださった教職員の皆様、夏の研修の様子をお寄せ下さった先生方に感謝いたします。


野末 聖香 看護医療学部長/教授 教員プロフィール