先月、私たちのキャンパスが生物多様性保全に貢献している区域である「自然共生サイト」に認定された。2021年12月のおかしら日記(「30 by 30」)で、生物多様性条約第15回締約国会議において採択された国際目標の一つである30by30(地球の陸域と海域の30%以上を自然保護区として守ろうとするもの)について、そして2023年5月のおかしら日記(「慶應義塾が30by30アライアンスに加盟」)では、この30by30を実現させるための有志連合である「生物多様性のための30by30アライアンス」に慶應義塾が加わったことを紹介した。それから2年ぐらいの月日が経ってしまったが、ようやくSFCが自然共生サイトに認定された。
自然共生サイトは、生物多様性の価値を有し、事業者、民間団体・個人、地方公共団体によるさまざまな取り組みによって、生物多様性の保全が図られている区域を国が認定するものである。自然共生サイトに認定された区域は「OECM」として国際データベースに登録される。OECMとは、Other Effective area-based Conservation Measuresという言葉の頭文字を取ったもので、国立公園などの法的に設定された保護地域以外で、生物多様性を効果的にかつ長期的に保全する地域のことで、30by30の目標に算入することができる。
SFCは2024年度後期に認定されたが、実は前期にほぼ全ての書類がそろって認定しようとしていた。ところが申請数が多すぎたそうで、募集期間中の5月初めに申請が打ち切られてしまった。そこで後期には募集開始がいつかいつかと待ち続け、開始初日に申請を済ませた。神奈川県にある教育機関として初と言いたいところであったが、2024年度前期に横浜国立大学のキャンパスに先を越されてしまった。それどころか、慶應義塾という意味でも、実は去年5月におかしら日記(「慶應の森 志津川山林」)で紹介した慶應の森(志津川山林)が、南三陸FSC認証林の一部として先に認定されてしまった。
とは言え、後か先かが重要ではなく、より多くの学生、生徒、教職員を巻き込み、生物多様性保全活動を活発化させていくことが必要である。さらに、この経験を慶應義塾の他の所有地の認定にも活かしていかなければならないだろう。キャンパスはちょうど新入生を迎えた時期である。皆さんにキャンパスとその周辺の自然を楽しんでいただきたい。